六花の勇者

六花の勇者 (スーパーダッシュ文庫)

六花の勇者 (スーパーダッシュ文庫)

販促効果が低そうな表紙から内容に自信があるのかと思い、気になっていた作品。
内容は六人の勇者が集まるはずなのに七人来ちゃったよ→偽物の敵は誰だ!という話。主人公が疑われてしまうので、彼が敵を推理していきます。一応、読者も一緒に推理できるようになっていますが面倒なので自分は大して考えずハラハラしながら読み進めました。七人の中に犯人がきちんと一人だけ用意されており、読んでいて素直に楽しかったです。ファンタジー作品で人狼ゲームをやる試みは以前にあったかどうか知りませんが、個人的にはありそうでなかったなぁと感じました。現代の世界観で行われている事をファンタジーの世界観でやるというのは面白い発想かもしれません。勉強になりました。
さて、既読の方はご存知かと思いますが、この作品は犯人がわかった後にすごい終わり方をします。犯人は書きませんが未読でその終わり方を知りたくない方は以下は読了後にご覧ください。
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ラストで、さあこの六人で頑張ろうぜ!という所にまた新たな勇者が現れます。勇者はまた七人に。。。という終わり方です。賛否両論なラストだと思いますが、私はこの終わり方を評価します。その理由はひとえに全く予想外の展開だった事に尽きます。そして、あんなに苦労したのに、またこれかよ。。。という主人公たちの絶望。読んでいてものすごく興奮しました。ただし、このラストを評価するには条件があり、それは続刊が出ないことです。理由を述べます。まず、主人公たちの最終目標は六人で協力して魔王を倒す事ですが、本作でやっている事は人狼ゲームです。そしてこの終わり方では次が出てもまた人狼ゲームをやるしかないわけです。なので、本作はここで終わっておけば「良作の単巻もの」で終われますが、続刊が出てしまうと絶望のラストは「露骨な次巻へのフラグ」になり下がり、シリーズ全体が「同じ内容を繰り返す駄作」になってしまうのです。2011年11月25日現在では2巻の刊行予定はないので一安心という所でしょうか(笑)まあ、おそらく企画段階から単巻ものだったと思うというか、そうであって欲しい。2巻が出るとしたら、せめて人狼ゲームじゃない事をして欲しいです。万が一にでも出たらたぶん買うとは思いますが、やっぱり残念だなあ、と思うでしょう。